【熊の習性】
クマは本来、攻撃的ではありませんが、もちろん個体差があります。
オス同士はメスをめぐる繁殖期には激しく争います。クマが人に攻撃するのは、クマと人がお互いに予測しない状況で突発的に出会ったために、クマが恐怖から攻撃する場合がほとんどです。特にツキノワグマは体が小さいため、その傾向が強く出ます。
【熊と遭遇しないための対策】
確実な有効性を持つ対策は現時点ではありません。これまでの研究ではクマが忌避する音や匂いは正確にはわかっていません。熊鈴やラジオ、ホイッスルなどは事前に人間の存在を知らせ、出会う前にクマ側から退去してもらう対策としては有効です。しかし熊鈴は鈴の音と危険が結びつかない「慣れ」が原因で退去しないクマも一部に存在する可能性もあります。人間に会うと嫌なことが起こる(例えば:猟犬に追いかけられるとか)を経験させることが本来は一番効果的です。先述のように忌避効果のある音(周波数帯域など)はわかっていませんが、以下のような音を用いて忌避効果を検証することは、ひとつの方法かも知れません。ただしそのためにはサンプル数を確保した検証試験を、対照試験も併せて実施し統計的に評価する必要があります。また、当初は忌避を示したとしても、経時的な音への順化についても見ていく必要もあります。
・自然界に存在しない音・自然界に存在しても普段から聴き慣れていない音
いづれにしても、クマが出没する可能性のある場所での行動は十分に注意が必要です

- 山崎 晃司(やまざき こうじ)
1961年生まれ 農学博士クマを中心とした動物生態学、保全生態学の研究を専門としている。ツキノワグマ研究の第一人者。東アフリカザンビア共和国生態調査官、東京都高尾自然科学博物館学芸員、茨城県自然博物館首席学芸員、東京農業大学地域環境科学部の教授などを経て、現在は茨城県自然博物館長として勤務。

